『加賀谷次長、狙われてます!』(小山田容子)は、銀行を舞台にした人間ドラマ×ちょい色気のコメディ作品。主人公・加賀谷次長は、イケメンで仕事もできるエリート行員。だが彼の“趣味”は女性を口説くことではなく、有望な人材を育てること。
そんな彼に、憧れ以上の感情を抱く男性部下たちが次々と“沼る”展開がユニークで、男女問わず心を揺さぶる。育成対象に選ばれた者は、仕事だけでなく生き方まで導かれるが、微妙な距離感にドキドキが止まらない。育成と恋愛が交錯する、じれったくも温かい物語です。
『加賀谷次長、狙われてます!』(小山田容子)の詳細レビュー
あらすじ:「加賀谷次長、狙われてます!」
エリート銀行員・加賀谷博基は、容姿端麗で仕事も完璧。だが彼の最大の魅力は、人材育成への情熱。女性を口説くよりも、部下の成長を見守ることに喜びを感じる彼に、憧れ以上の感情を抱く男たちが現れる。
設楽はその一人。加賀谷の家で一夜を過ごしたことをきっかけに、彼との距離を縮めていくが、加賀谷の真意は常に一歩先を行く。さらに、加賀谷の少年時代に深く関わった家庭教師・堤との再会が物語を揺さぶる。
堤、設楽、美馬らが加賀谷を巡って繰り広げる“ラブ・セッション”は、育成と恋愛、過去と現在が交錯する濃密な人間ドラマ。九州編では設楽が化粧品開発に携わり、SNSでバズる展開も。育成と愛情が交差する、じれったくも温かい物語が展開される。
作者紹介
小山田容子(おやまだ ようこ)は、繊細な心理描写とユーモラスな展開を得意とする漫画家。人間関係の機微を描くことに長けており、BL要素を含みつつも、育成や成長、家族的な絆をテーマにした作品が多い。読者の心に寄り添うような作風で、幅広い層に支持されている。
登場人物一覧
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加賀谷博基:エリート銀行員。育成に情熱を注ぐ。
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設楽:部下。加賀谷に憧れ、次第に恋心を抱く。
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堤:加賀谷の元家庭教師。博基の少年時代に深く関わる。
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陽斗:加賀谷が育てる少年。設楽との関係も深まる。
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美馬:加賀谷を巡るもう一人の男。謎めいた存在。
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田端:腐女子的視点で物語を見守る存在。
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下薗:九州編で登場する美肌王子。設楽の指南役。
作品詳細
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シリーズ名:加賀谷次長、狙われてます!
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作者:小山田容子
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出版社:秋田書店
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掲載誌:エレガンスイブ
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ジャンル:BL風味の人間ドラマ/育成ラブコメ/ヒューマンストーリー
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巻数:電子単行本で現在9巻以上刊行中
『加賀谷次長、狙われてます!』読みどころ
本作の最大の魅力は、“育成”と“恋愛”の絶妙なバランス。加賀谷次長は、ただのイケメン上司ではなく、人の可能性を見抜き、導く力を持つ人物。その姿勢に惹かれる部下たちが、憧れから恋へと感情を変化させていく過程が丁寧に描かれている。
特に設楽との関係は、育成対象としての距離感と、恋愛感情の揺れが交錯し、読者にじれったさと温かさを同時に与える。さらに、加賀谷の過去に登場する堤との再会や、九州編での設楽の成長など、各キャラの人生が交差する構成が秀逸。
育成とは何か、愛とは何かを問いかける、哲学的な深みもある。BL的な甘さと、ヒューマンドラマとしての骨太さが融合した、唯一無二の作品。
作品の感想と考察
『加賀谷次長、狙われてます!』は、単なるラブコメではない。育成というテーマを軸に、登場人物たちの過去や価値観が丁寧に掘り下げられている。加賀谷の“育てる”という姿勢は、恋愛感情を超えた人間愛に近く、読者に深い感銘を与える。
設楽の成長や堤との再会は、人生の再構築や赦しの物語でもある。九州編では、設楽が自分の価値を見出し、社会的にも認められていく姿が描かれ、自己肯定感の大切さを感じさせる。
また、腐女子・田端の視点がメタ的に物語を包み込み、読者の視点と重なる仕掛けも巧妙。育成と恋愛、過去と未来、個と社会が交錯する本作は、読むたびに新たな発見がある。
総評(まとめ):「加賀谷次長、狙われてます!」
『加賀谷次長、狙われてます!』は、育成と恋愛をテーマにした新感覚の人間ドラマ。小山田容子の繊細な筆致が、登場人物たちの心の揺れを丁寧に描き出し、読者の共感を呼ぶ。
BL的な甘さを持ちつつも、育成というテーマが物語に深みを与え、単なる恋愛漫画に留まらない魅力がある。加賀谷という人物の哲学と、彼に惹かれる人々の成長が交錯する構成は、まるで人生そのもの。
じれったくも温かい、読む人の心を育てるような作品だ。人間関係に悩む人、誰かに導かれたいと願う人にこそ読んでほしい、珠玉の一作。
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