『ババンババンバンバンパイア』は、奥嶋ひろまさによる濃密なキャラクター描写で知られる漫画。
450歳の吸血鬼・森蘭丸が、理想の血を持つ「18歳童貞男子」の血を狙って銭湯で住み込みバイトを始めるコメディ漫画です。
ターゲットは銭湯の息子・李仁。彼の純潔を守るため、蘭丸は恋の邪魔をしたり、吸血鬼ハンターと対峙したりと大騒動!ギャグとBL風味が絶妙に混ざった、笑ってドキドキする異色の作品です。
1. あらすじ
物語の舞台は、東京の下町にある老舗銭湯「こいの湯」。ここに住み込みで働くのは、なんと450歳の吸血鬼・森蘭丸。彼は「18歳童貞男子の血」が最も美味と信じており、その理想の血を持つ少年・立野李仁(たつの・りひと)を狙って銭湯に潜り込む。
10年前に瀕死の彼を救ってくれたのが李仁であり、彼の血を奪うには「18歳まで童貞を守らせる」必要があるという、奇妙な使命感に燃えている。
李仁は高校入学を機に、同級生の葵に一目惚れ。蘭丸は李仁の“純潔”を守るため、あの手この手で恋の邪魔をし始める。
さらに、吸血鬼ハンターや謎のギャル軍団、蘭丸の兄・森長可など、個性豊かなキャラクターたちが次々と登場し、銭湯を舞台にしたドタバタ劇が展開される。
ギャグとシリアス、BL風味と人情ドラマが絶妙に混ざり合い、読者を笑わせつつも心をくすぐる“ブラッディ・ラブコメ”がここに誕生した。
2. 作者紹介
奥嶋ひろまさは、独特のギャグセンスと濃密なキャラクター描写で知られる漫画家。『ババンババンバンバンパイア』は、彼の代表作のひとつであり、2021年より『別冊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載開始。2025年3月時点で単行本は10巻まで刊行されている。
奥嶋氏は、古屋兎丸作品に影響を受けたと語っており、作中には『ガラスの仮面』や『カイジ』などのオマージュも多数登場。ギャグの中にシニカルな視点を織り交ぜる作風が特徴で、読者の笑いと共感を同時に引き出す手腕に定評がある。
3. 登場人物
- 森 蘭丸:450歳の吸血鬼。18歳童貞の血を好む。銭湯で住み込みバイト中。元は織田信長の家臣。
- 立野 李仁:高校1年生の美少年。銭湯「こいの湯」の息子。蘭丸に命を救われた過去を持つ。
- 篠塚 葵:李仁の同級生でヒロイン。ピュアで素直な性格。蘭丸に好意を抱く。
- 篠塚 健(フランケン):葵の兄で不良。蘭丸に敗北後、義兄弟を自称。
- 坂本 梅太郎:李仁の担任教師。実は吸血鬼ハンターで、坂本龍馬の子孫。
- 山羽 カオル(ヤマンバ):ギャル軍団「G4」のリーダー。李仁に好意を抱く。
- 森 長可:蘭丸の兄。信長を崇拝し、蘭丸に敵意を抱く。
- 立野 春彦・珠緒:李仁の両親。父は故人、母は銭湯の店主で料理上手。
4. 読者の感想と評価
『ババンババンバンバンパイア』は、その奇抜なタイトルと設定でまず読者の目を引くが、読み進めるうちにキャラクターの魅力と人間ドラマに引き込まれるという声が多い。
特に蘭丸の“吸血鬼としての欲望”と“人間としての情”の間で揺れる姿に、ギャグだけではない深みを感じるという感想が目立つ。
また、李仁との関係性が徐々に変化していく過程に、BL的な緊張感と成長物語の要素が絶妙に絡み合っていると評価されている。
一方で、ギャグのテンポやオマージュの多さに「クセが強すぎる」と感じる読者もいるが、それすらも“中毒性”として楽しむファンが多い。アニメ化・映画化もされており、メディアミックス展開によってさらに注目度が高まっている。
5. まとめ
『ババンババンバンバンパイア』は、吸血鬼×銭湯×青春という異色の組み合わせを、ギャグとシリアスの絶妙なバランスで描いた作品です。
450年の時を生きる吸血鬼・蘭丸と、純真な高校生・李仁の関係を軸に、笑いあり涙ありの物語が展開されます。
作者・奥嶋ひろまさのセンスが光る台詞回しや、濃厚なキャラクター造形、そして随所に散りばめられたオマージュが、読み応えをさらに深めています。
ギャグ漫画としても、ラブコメとしても、そして人間ドラマとしても楽しめる本作は、まさに“クセになる”一冊。
もしまだ読んでいなければ、まずは1巻を手に取ってみてください。きっと、タイトルのインパクト以上に、物語の奥行きに驚かされるはずです。