『接物語』は〈物語〉シリーズの最新長編で、斧乃木余接の誕生秘話を描いた青春怪異譚。語り手は忍野メメ。境都大学オカルト研究会の面々が禁忌の儀式に挑む夏の物語です。境都大学オカルト研究会に所属する忍野メメと貝木泥舟は、先輩・臥煙伊豆湖から禁忌の儀式に誘われる。女子高生・影縫余弦と共に準備を進めるが、事態は予想外の展開へ──。本作は式神童女・斧乃木余接の“作りかた”を描く誕生秘話であり、〈物語〉シリーズのミッシングリンクを接ぐ一冊。
『接物語』は〈物語〉シリーズのミッシングリンクを接ぐ、斧乃木余接の誕生秘話を描いた青春怪異譚。
『接物語』は西尾維新が「100%趣味で書いた」と語る〈物語〉シリーズ最新長編。語り手は忍野メメ。舞台は境都大学オカルト研究会。忍野と貝木泥舟は、先輩・臥煙伊豆湖から禁忌の儀式に誘われ、女子高生・影縫余弦と共に奔走する。式神童女・斧乃木余接の“作りかた”を描く誕生秘話であり、シリーズの空白を埋める重要作。VOFANによる美麗イラストも健在。シリーズの根幹に触れる内容ながら、軽妙な会話と奇怪な展開が心地よく、青春と怪異が交錯する一冊。
あらすじ:「接物語」
境都大学オカルト研究会に所属する忍野メメと貝木泥舟は、先輩・臥煙伊豆湖から禁忌の儀式への参加を持ちかけられる。儀式の目的は、式神童女・斧乃木余接の創造。女子高生・影縫余弦を巻き込みながら、三人は準備に奔走するが、プロジェクトは予想外の方向へと進んでいく。
語り手である忍野メメの視点から描かれる物語は、〈物語〉シリーズの空白を埋める“接ぎ”の物語。怪異と青春が交錯する夏の日々の中で、誕生の意味と儀式の代償が明かされていく。シリーズファンにとっては、余接の存在の根幹に触れる重要な一冊であり、軽妙な語り口と哲学的な問いが交差する怪異譚となっている。
作者紹介
西尾維新(にしお・いしん)は1981年生まれの小説家。2002年、『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』で第23回メフィスト賞を受賞しデビュー。以降、「戯言シリーズ」「〈物語〉シリーズ」「忘却探偵シリーズ」「刀語」など多彩な作品を発表。独特の言語感覚と会話劇、哲学的テーマを織り交ぜた作風で人気を博す。アニメ化・実写化作品も多数。
イラスト・VOFANが担当。台湾出身のイラストレーターで、〈物語〉シリーズのビジュアルを一貫して手がけ、鮮やかな色彩と幻想的な構図で作品世界を彩っている。
登場人物(キャラクター)
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忍野メメ:語り手。境都大学オカルト研究会所属。冷静かつ飄々とした人物。
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貝木泥舟:同研究会のメンバー。詐欺師的な言動で場をかき回す。
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臥煙伊豆湖:先輩にして元締め。儀式の発案者。謎多き存在。
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影縫余弦:女子高生。儀式に関わる重要人物。
特徴と読みどころ
『接物語』の最大の特徴は、〈物語〉シリーズの“空白”を埋める構造にある。これまで語られなかった斧乃木余接の誕生秘話が、忍野メメの語りによって明かされることで、シリーズ全体の理解が深まる。
西尾維新らしい軽妙な会話劇と、哲学的な問いかけが随所に散りばめられ、読者を飽きさせない。特に、儀式の“レシピ”を巡るやり取りは、怪異と人間の境界を問い直す重要な場面。VOFANのイラストも、物語の幻想性を高める役割を果たしている。
青春と怪異、論理と感情が交錯する本作は、シリーズファンにとっては必読であり、初読者にも怪異譚としての魅力が伝わる構成となっている。忍野メメという語り手の選択も、物語に新たな視点を与えている。
感想レビュー(接物語)
『接物語』を読了してまず感じたのは、シリーズの“接ぎ”としての完成度の高さ。斧乃木余接というキャラクターの根幹に触れることで、これまでの物語が一層深みを増す。忍野メメの語りは、冷静でありながらもどこか情感があり、読者を静かに物語へと導いてくれる。
貝木や臥煙の登場も、ファンには嬉しい再会。影縫余弦の存在が物語に緊張感を与え、儀式の行方に目が離せない。西尾維新の筆致は相変わらず冴えており、言葉遊びと哲学的対話が絶妙に絡み合う。
VOFANのイラストも、物語の雰囲気を視覚的に補完してくれる。シリーズの中でも特に“静かな熱”を感じる一冊であり、読後には余接という存在の重みが胸に残る。まさに“接物語”というタイトルにふさわしい作品だった。
作品詳細
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シリーズ名:〈物語〉シリーズ
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作品名:接物語(ツギモノガタリ)
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作者:西尾維新
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イラスト:VOFAN
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出版社:講談社
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掲載誌:―(書き下ろし)
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ジャンル:青春怪異譚、ミステリー・サスペンス
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巻数:単巻(2025年10月16日発売)
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価格:1,980円(税込)
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ISBN:978-4-06-541079-0
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ページ数:416ページ(電子版)
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ファイル形式:EPUB(電子版)
総評まとめ:「接物語」
『接物語』は〈物語〉シリーズの空白を埋める“接ぎ”の物語であり、斧乃木余接の誕生秘話を描いた青春怪異譚です。語り手に忍野メメを据えることで、これまでのシリーズとは異なる静かな語り口が展開され、怪異と人間の境界を哲学的に問い直す構成となっています。
儀式を巡るやり取りは、論理と感情、青春と怪異が交錯する緊張感に満ちており、シリーズファンにとっては必読の一冊。貝木泥舟や臥煙伊豆湖、影縫余弦といったおなじみのキャラクターも登場し、物語に深みと懐かしさを与えます。
VOFANの美麗なイラストも、幻想性と青春の儚さを視覚的に補完。西尾維新の言語感覚と哲学的対話が冴え渡る本作は、〈物語〉シリーズの理解を深めると同時に、怪異譚としての魅力も存分に味わえる完成度の高い作品です。
関連作品
・『傷物語』(西尾維新)〈物語〉シリーズの原点であり、阿良々木暦が吸血鬼・キスショットと出会い、怪異に巻き込まれる過程を描く。
・『偽物語』(西尾維新)阿良々木暦の妹・火憐と月火を中心に展開する物語。上巻「かれんビー」では正義感の強い火憐が詐欺師・貝木泥舟と対峙し、下巻「つきひフェニックス」では月火の“正体”が明かされる。
・『猫物語(黒)』(西尾維新)羽川翼のゴールデンウィークの事件を描く。怪異“障り猫”との戦いを通じて、羽川の内面と阿良々木との関係が深まる。
・『混物語』(西尾維新)〈物語〉シリーズと他シリーズのキャラクターが交差するコラボ短編集。忘却探偵・掟上今日子や人間シリーズのキャラが登場し、阿良々木暦との掛け合いが楽しめる。
